(すのまたの天王祭)
家業への思いをはずかしながら、少し自分のことを話します。
私は、八百屋を営む両親の長男です。
私は子供のころから、両親のように商売をやってみたいと思っていました。
だからと言って、そのまま八百屋を継ぐ自信はなく、何か別の商売を身につけて、起業し、家業にも役立てようと考えていました。
そして学校も商業高校経営科、大学も経営学科を専攻しました。
就職先は営業職が良いと考え、数社、見学に行きましたが、結局、地元の小さな旅行社に入社することになりました。
旅行社の社長さんは、家が法事や定飯でお世話になっているお上人です。社長さんには、家業を継ぐ前の社会人としての修行なので、いずれは辞めることをご了承いただいていました。
ところが人生は予定通り行かないもので、その会社に24年間お世話になることになったのです。
その旅行社には、やり手の上司がいました。
その上司の言動や方針が、未熟な自分にはあまり理解できませんでした。
利益至上主義一辺倒に虚しさを感じました。
辞めたい!
しかし、ここで辞めたら逃げることになる。
ならば 起業しよう!
旅行業以外の起業を理由に辞めるのなら会社も納得するだろう。
やりたいことがあるから辞めるのだから、逃げることにならないと考え、無茶な起業を真剣に考えたりもしました。
結局、その上司は会社を去りましたが、私はその上司よりもずっと未熟でした。
会社の営業責任者として、業績を伸ばすための試行錯誤はするものの、業績は伸びなかったのです。
このままではいけない!自分が何とかしなければ!!
しかし、ジレンマばかりで結局何もできませんでした。
そして、世代交代した旅行社オーナーの口から廃業を宣告されたのです。
そして、二転三転の末、自分が旅行業で独立することになったのです。
私が思い描いていたシナリオではありませんでしたが、結果的に自分で商売を起こしたいという夢は叶うことができました。