何事の おはしますかは しらねども かたじけなさに なみだこぼるる
西行法師が伊勢神宮をお参りした時に詠んだ句です。
西行法師は平安末期、 裕福な武士の家に生まれ、
武道に優れ、北面の武士になるも 出家。
旅を空、あるいは山里の庵の孤独な暮らしの中から、
生命を深く見つめ、花や月をこよなく愛する生活を送り、
新古今和歌集には最多の94首が入選しるほどの大歌人でした。
500年後、松尾芭蕉も西行法師に影響を受け敬愛をしました。

西行法師がなみだこぼるる伊勢神宮にも、
大戦中において焼夷弾の的にされました。
米軍は日本人の精神の支柱となっている伊勢神宮を破壊すれば、
戦意を失うと考えたのです。
ところが数度の空襲も
最後まで焼夷弾が正宮を外すという奇跡が起ったのです。
米軍の空襲の精度は高く、的を外すことはないはずなのに、
正宮の上空に降り注ぐ焼夷弾は、
不思議と軌道は途中で曲がり神域を外れていきました。
避難することなく消化のため夜を徹して守っていた神職や職員の方々は、
この光景を目の当たりにして、
涙がこぼれたそうです。