「シラス国」の意味を知れば、日本がわかるといっても過言ではないと思います。

この言葉に秘める日本の国の形を知れば、日本は世界の国々がこれから進むべき道がみえてきます。


 

国譲り神話の中に「シラス国」が登場します。

 

出雲大社の西方1kmにある海岸が国譲り神話の舞台となった稲佐の浜です。

浜辺の奥には大国主大神と武甕槌神が国譲りの交渉をしたという屏風岩があります。

大国主神は八十神(兄神たち)を退治して、出雲で国作りをしました。
ところが、ここでとんでもないことが起きます。

せっかく、苦難の末に多くの国を治めるまでに至った大国主神です。
もし、あなたが大国主神の立場だったら、「あなたの国を譲りなさい」と言われたらどうしますか。

このお話が「国譲り神話」です。

神社本庁が紹介する国譲り神話をみてみましょう。

天照大御神(あまてらすおおみかみ)は、孫の瓊々杵命(ににぎのみこと)に豊葦原水穂国(とよあしはらのみずほのくに)を治めさせようと考えられ、建御雷神(たけみかずちのかみ)と天鳥船神(あめのとりふねのかみ)に命じて、様子をうかがわせてみました。

二柱の神は、出雲の国稲佐いなさの浜に降ると、剣を抜き、その剣を波間に逆に刺したて、その先にあぐらをくんで座りました。

そしてこの国を治めている大国主神(おおくにぬしのかみ)に、この国を天神(あまつかみ)の御子(みこ)に譲るかどうかを問いました。

大国主神はしばらく考える様子でしたが、もし自分の子どもたちがよいというのであれば、この国は天神の御子にお譲り致しますと答えました。>

大国主神には、事代主神(ことしろぬしのかみ)と建御名方神(たけみなかたのかみ)という二柱の子供がいましたが、そのうち建御名方神は、力じまんの神でなかなか納得しませんでした。
そこで建御雷神と力競べをすることにしました。ところがどうでしょう。

建御名方神が、建御雷神の手をとると、氷のようになり、剣の刃のようになりました。

これはたまりません。

建御名方神は、父である大国主神の命に従うことを約束しました。

その後、建御名方神は信濃国に移り、信濃国の国造りをしました。

さて、このことを大国主神に告げると、大国主神は自分が隠れ住む宮殿を、天神の住む宮殿のように造ることを願い、そこに移り住むことにしました。

こうして出雲の国は、天神の御子瓊々杵命に譲られたということです。

以上は、よく知られるお話の内容です。

この話を読んでどんな感想をあなたは持たれたでしょうか。

実はこのお話には、建御雷神が大国主神との会話の中で次のような大事なことを言っています。

ここからも、人気ブログ「ねずさんのひとりごと」を運営する小名木善幸さんの要約を参考にさせていただきます。

建御雷神は大国主神に次のように言いました。
以下原文と( )内は要約分です。

汝之宇志波祁流 
(なんじのウシハク)

此葦原中國者
   (この葦原の中国は)

我御子之所知國 
(我が御子のシラス国ぞ)

この原文には「知國」(シラス国)と「宇志波祁」(ウシハク)という耳慣れない言葉が出てきました。

これは、日本の国の形を知るうえで他国とは根本的な違いとなる最も重要な概念になります。
ねずさんは次のように説明しています。

シラス国というのは、原文にある通り「知国」て゛あり、現代風に簡単にいえば情報共有化社会です。
わたしたち日本人は「真実」というのをとても大切なものと考えるし、それか゛「あたりまえのこと」と誰もか゛思っていますか゛、それは、わたしたちの国日本か゛、いったい何時の時代のことかさえもわからない遠い遥か太古の昔からこうして、誰もか゛「知ることを共有する国」を目指し、築いてきたからにほかなりません。

「宇志波祁(うしはく)国」は、ウシ(=主人)か゛ハク(佩く)国て゛、佩くは大刀を腰に佩くというように、身につけること、つまり私有することを意味します。
宇志(ウシ)か゛主人を意味すると説いたのは本居宣長て゛すが、要するにウシハクというのは、豪族たちか゛民衆や領土を私的に私有するという統治の姿を現します

もう、おわかりのように、大国主神が苦難の末に統治した国は、あくまでも「ウシハク国ですよ」と言っているのです。
「民衆をや領土はあなたのものとしていませんか」、「あなたより力があるものがこれから先に現れたらあなたは国を失いますよ」、「それがウシハク国というものなんです」、「ウシハク国の民衆は決して幸せになれません」と言っているのです。

大国主神は、戦ういう選択肢もあったはずです。
でも、戦わなかった。

ここに大国主神は、シラス国の意味を深く理解して、快く国を譲りました。

その後、瓊瓊杵尊が天照太神の命をうけて、日本に降臨します。
瓊瓊杵尊がこの国を所有したのではありません。
シラス国というは、民衆や領土は天照太神の大御宝(オホミタカラ)であるという国の形です。
瓊瓊杵尊は天照太神の大御宝である領土を豊かにし、民衆を幸せにする使命をもって降臨したのです。
降臨後の日本では、他国で起きたような民衆の奴隷化などは、一切、起きることはありませんでした。

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